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アサギマダラという蝶々をご存じだろうか。
羽をひろげてもせいぜいその長さ10cmあまり。重さに到っては、0.1gというこのか弱い蝶々が何と、1000km以上の旅をするのだ。
信じられないだろうが、本当の話。
夏にかけて、南から北上して日本国内で活動をして、秋になると一気にまた、南にむけて南下を始めるという、いわゆる「鳥の渡り」のような行動をする蝶々なのだ。
このアサギマダラの羽に、捕獲場所や捕獲者、日付などを記入して、再び放す「マーキング」という方法で、日本全国の愛好家が、渡りの実態の調査を20年くらい行っている。
が未だその詳しい生態は謎のままという、なんともロマンあふれる蝶々なのである。
そのアサギマダラ、何と、2000年の夏には台湾でマーキングされた蝶が滋賀県の比良山というところで、再捕獲され、新聞紙上を賑わした。その飛行距離1800km!!!
びっくりじゃあ〜あ〜りませんか!
この不思議な蝶を、この秋、構成を担当している東海テレビの「てれび博物館」という番組で、とりあげた。司会の川津祐介さんとアシスタントの中野珠子ちゃんに実際に、秋のマーキングに参加してもらい、その行方を追うというものだった。
実は、この番組でとりあげるまで、わたしにはとても不思議な偶然が続いていたのだった…。
「てれび博物館」というのは、名古屋の東海テレビで放送している科学番組。とうに放送1000回を越えた長寿番組である。(念のため放送当初は私はもちろん子供で、見てました。はい!)
テレビの台本をかくことが生業になり、また、科学番組の担当となったこともあって、もちろん、自然科学には興味とアンテナを張ってはいた。そのなかで、このアサギマダラの存在を知るのだが、何と、全国の調査のなか、愛知県で中心になっていたのが私の高校時代の先生、お二人だったのである。
いつか、番組でとりあげたいと、去年の秋、愛知県知多半島、美浜町の冨具神社で行われたマーキング会に参加した。
とはいってもアサギマダラの知識を自分なりに知るためと、マーキングの様子を、とりあえず取材したかったため。
先生達に「せっかく来たんだから、一頭(蝶はこう数えます)くらい、記念にマーキングしていったら?」とすすめられ、タモをもって、境内をふらつき、ようやく一頭をゲット。
(これでも私は、子供の頃、セミとり名人だったのだ!)
当日の10月の10日の日付と捕獲場所、まゆみ(1)と自分の印も書き入れた。偶然にも、この日の冨具神社での最後の一頭。
さらに偶然はつづく。それから2週間もすぎたころ、先生から興奮した声で電話が入ったのである。
「キミのマークした蝶が鹿児島県の喜界島で見つかった!」
ビギナーズラックとはこのこと。
私がマークしたのは、たった一頭。もちろん知多半島で何百とマーキングされたウチのたった二頭が10月末に1000km以上離れた喜界島でみつかったのみ。そのほかの土地で何千何万とマーキングされているそうだから、まさに、宝くじなみの確率だったわけだ。
この偶然に、番組のプロデューサーからも「それじゃいっちょ番組でもおいかけてみっか!」とOKが出、晴れて2000年の秋に実現となったわけなのである。
で、番組ではどうだったか。
う〜ん。残念ながら、司会のお二人のマークした蝶は喜界島まででかけたけれど見つからず。
し、しかし、またしてもとんでもない偶然がロケで起ったのである。
番組のスタッフがみつけ、再捕獲した蝶、なんと三重県のTさんが岐阜県と愛知県の県境でマークしたもので、そのうえ、連絡をとると翌日喜界島にいらっしゃる予定だというのである!
これには、スタッフ一同ビビったらしい。
まさに「こんな偶然ってあり?」
なんたって喜界島なんて早々簡単に出かける場所じゃない。もちろんマーキング歴4年というTさんも、いつかいってみたいと今年はじめて実現したそうなのだから。
ロケから帰ったスタッフが言うことには。
「やっぱり、キミの再捕獲、ものすごい偶然だって!」
そう、その喜界島にやってきたベテランTさんは今年、4000頭近くマーキングをしたのだそうな。そのうちの一頭がやっと再捕獲。としたら、私の去年の一頭入魂!(こんな風に言うかい?)は、偶然というよりは、必然。きっと番組を実現させる為の必然だったんだ!なんて妙に感動を新たにしたのである。
もちろん、まだ私はかの喜界島に行ったことはない。
しかし、まだ見ぬその島が一頭の蝶のおかげでとても身近にそして忘れられない存在になっている。私のマークしたまゆみ(1)は、知多半島から遠く喜界島への1000km、一体どんな旅をしたのだろうか?
再捕獲をしてくださったという、鹿児島のFさんにもまだお会いしたことはないが、お互いの存在だけは知っているというなんともロマンチックな関係ではないか!
隣の部屋に住んでいたって、親しくつきあったり、言葉を交わすことなくすれ違っていくひともいるというのに。一頭の蝶のロマンが、私の高校時代を、そして未だ見ぬ遠い土地の人たちとを確実に、出会わせてくれていく…。
インターネットも、きっとそんな出会いに似ているような気がする。
蝶の事を「二つ折りの恋文」って言ったの誰だっけ?(いい加減な知識でスミマセン)まさに、このエッセイ第一回目はそんな気分。
これを読んでくれた未だ見ぬ人、そして、もしかしたらずっと会えずにいた人、会っているけどよくはしらなかった人…、そして、その人同士…、いろんな人にふわふわと飛んでいってつながっていったらいいなと今、勝手に思いをふくらませてわくわくしているのである。
■参考サイト
「てれび博物館」
「喜界町ホームページ」
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