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よみたい!ネット
エッセイ

 

天使、なんて呼べない
第14回 こんなお見舞いの手紙

柊野ポネ  
 

 

 サッカー、サッカー、サッカーの日々ですね。
 ユーガも最近あるサッカー教室に入った。ご存知であろうか、「スペシャル・オリンピックス」という知的にハンディがある人たちのためのスポーツ組織で、4年に1回世界大会がある。それに所属するクラブに名を連ねたのだ。目標はあくまで大きく!なに私はユーガが夢中になれることのひとつにいずれなればいい、くらいの気持ちはいつものことで。練習に着せるジャージは日本のだけじゃなくてイングランドのもいいなぁ、とか例によってミーハーしている母である。
 キックのしぐさもおぼつかなく、初心者グループに入って、ボーリングのピンを蹴ったボールで倒す練習(トホ!)などしている今現在ではあるのだが。水泳のインストラクターにして、サッカー少年であり、高校時代はインターハイ直前までいったという運動系家庭教師のハイバラくんに学校帰りに相手をしてもらって、ユーガも近ごろではボールとみるとコロコロと足もとで蹴って、なんとなくやる気の様相をみせてきた。イナモトになれないのは残念だけれども、同じ夢を追いかけることはユーガにだってできるかなとも思っている。

 

 ハイバラさんにユーガをみてもらっている間、私は一日のたまった家事に大急ぎでかかる。朝早くコドモたちといっしょに学校へユーガを送りにいって、そのまま取材などで家をでたままの室内は、かなり悲惨を極める。夫の脱ぎ捨てたままのパジャマ、ユーガが朝食のジュースをトレイに移しかえて飲むクセがこのところついていて、その上に置かれた新聞はぐちゃぐちゃだし、あっ、MDがリピートでずっとかかったままだった!(練習しているゴスペルコーラスの音楽が大音響とはいわないけど昼間ずっと鳴っていたのだね。おー)
 おはずかしい話だが、まったく家事に身が入らないときが、1年周期で1週間くらい私の場合ある。精神的にとてもシンドクなって、仕事との切りかえがうまくいかなくなる。こーゆーときはスーパーへ買物にいくのも億劫で、モノを買ってそれを消費していく営みが例えようもなく空しく思えるのだ。そんなことをきっかけに転がり落ちるように気持ちが沈んでいくこともあるので、それを打ち切る方法もいくつか習得した。そのひとつ、ヒトを家に招くと、自然と家のなかのことに体が動く。特に緊張をしいられる間柄だと効果は大であるわけで、これで私は立ち直っていく。

 

 春先に家庭訪問があった。
 最近は実施しない小学校も増えているようだけど、これがいい機会なんだなぁ。玄関先で担任教師との10分程度の立ち話ですんでしまうことなのだが、待ちうける母親たちには結構気疲れのする日なのである。
 玄関のお花をとりかえ、さぁ、お出迎えのつもりで、日干したおふとんを部屋にとりこんでそのままの状態にしておいたら、先生の方が置いてあったスリッパを履きはじめていたとか、笑える話があとからよく話題になる。
 わが家ではこの時期に、家の大掃除とかんたんな模様替えをする。定例になってしまった。なぜかというとですね。ショーガイ児関係のクラスのコは家庭訪問のひとりあたりの時間が30分ほどとってあるのです。だからトーゼン、先生方は一応結構です、とは遠慮されるんだけど、家に上がってお話ということになる。
 幼稚園前に1年間通っていたミモザ学園のときは、担任の保母さんが2人家にこられて、リフォームして完成したばかりのユーガの部屋で「この壁紙かわいいねぇ」とかいいながら、アルバム3冊をみながら生い立ち話に花が咲き、2時間ちかく時が過ぎた。幼稚園以後はさすがに長時間先生方も滞在はされないが、この時期になるとなんとなく家具の入れ替えなどに精をだすようになってしまった。

 

 シーナ先生がはじめてこられたときは、前日だったかユーガがコーヒーをこぼしてリビングのラグに大量のしみができてしまった。このときはインテリアの仕事をしている友人にカタログをみせてもらって急遽新しいラグを当日届けてもらい急場をしのいだ。そこまでやるかってか。
 今年も、同じクラスの赤ちゃんをふくむ4人のコのママは、1
週間かけて部屋の片づけをするといっていたな。「きれいなうちに早くきてほしいなぁ」ともいっていた。
  あのさ、そんなにいつも家のなか、めちゃめちゃじゃないんですけどね、私たちも。なにがいいたいかというと、人一倍二倍お世話になっている学校の先生にきていただいて、コドモのことをご指導いただくってのは、そのくらい襟を正してしまうッてことをいいたいわけで。この一年間、どんなことを目標に学校生活をおくるのか、またはおくれるのか、静かな話しあいのなかにも親の願いがこもる色濃い30分なんです。

 

 今年はちょっとばかり異変があった。うちのクラスに新しい先生が入ってこられ、いつもより別の意味で緊張した家庭訪問のひとときがあった。手間ひまかかるわがムスコをあたたかくみつめてご指導いただけるようなので、親としてはひとまずホッとひと安心ではあるのだが。
 実はわがシーナ先生はこの4月から体調を崩されていま入院生活をおくっていらっしゃる。このことで私はかなりの打撃を春からうけてしまった。コドモのことだけではなく、私自身もあらゆる面で先生に頼っていたことを思い知らされた観があった。
 お元気に回復されるまでまだしばらく時を待たなくてはならない。サッカーも勉強もお手伝いも、先生にはヤツのすこしでも成長したところをおみせしたいものだが、なかなかそうはいかないところは病床の先生がいちばんご存知かもしれない。

 

 先生、またお話できる日を楽しみに待っていますね。心よりご全快お祈りしています。

 

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