ということはササっと舞台を通りぬけずに、彼はその場にとどまっていなくちゃいけないということじゃないかぁ。と同時に、クギたちは何人もいるのでみんなでくっついてしまえば、近くのオトモダチに捕まえててもらえる、という役得な役でもあるわけだね。
でも、モレ聞くところによると、先週の練習中にヤツは、「牛乳ビン」たちが前でセリフをいっているときに、「クギ」仲間からひとり離れて、舞台の中央にでて、そのやりとりをぴょんぴょん飛びながら喜んでみていたそーな。出演と観客の二役をやっただけではなく、ときに磁石にくっついていられない「クギ」を演じてしまったらしい。
「ユーガくんだけ、ときたま磁石にくっつかない特別なクギにしてもらったら?」とは、同じ分団の2年生でそのとき舞台上にいた「クレヨン」役のアミちゃんからの提案である。
そーねぇ、そうじゃないと筋が通らないよねぇ。特別ねぇ、また特別かぁ。特別も赤ちゃんのころから続くとね、疲れるんだよ。
というわけで、いま彼はほかのコドモたちといっしょに文字どーり、体当たりで舞台にとりくんでいるわけだ。(セリフはある。よそのコがいってくれる)本番に順調にいかなかったときのために、シーナ先生がいっしょうけんめいがんばっている練習の様子を、おかあさん、みにきてくださってもいいですよ、と声をかけてくれた。楽しみ半分(半分もないな、ドキドキ度が上回る)怖いものみたさ半分で、本番一週間前のリハーサルの日、ひとりみにいこうかと思っていたのだが、結局その日はいけなかった。
私のほうがめずらしく風邪をひいてダウンしてしまったのだ。もともと気管支が弱いところにのどをやられてしまって、いっときまったく声がでなくなった。口パクパク状態の筆談で友人に家事の手助けをたのんだりする一幕もあった。
そして学芸会の舞台は今週、幕をあける。自分のセリフは話せないユーガは、自分の出番とは関係のないところで、声をあげていたりするそうだ。だいじょうぶかなぁ。めだたず、動かず、その他大勢にまぎれる役柄をマットウしてくれよ。君はいつもどこにいってもその場にいるだけでとても「個性派」なのだから。お芝居のときくらい控えめに演じてくれよ。
というところで、幕。本調子にもどれない私はまだガラガラ声。皆さん、寒さ到来の折、お風邪のかたには心からお見舞いもうしあげます。