夢見るように眠りたい(つづき)

 旅行にいってコドモたちが寝静まったあと、母たちだけで他愛のない話をしていても、学校という場がなくなったあとのコドモたちの行く末について話したりもするようになった。自分たちの仕事や趣味や特技をいいあって、笑い話のなかにもなにか役立つことはないかといいあう。私は人生を逆算してこれを達成するためにこの時期までにこれを習得する、という生き方はできないほうだけれど、そーゆー気構えはこれから日一日と必要になってくるのかもしれない、とも思ったりする。それが私のするべきあらたな「仕事」になっていくのかなあ、とかね。

 

 いま読んでいる本のなかで、不思議な職業(架空のね)に就いている人々を写真入りで紹介している一冊があった。これから実るであろう果実の数を一本の樹木から予測する「果実勘定士」、白いシャツだけを製作する「白シャツ工房」、冬の間しか開館しない「冬眠図書館」の「シチュー当番」など。ありそうもないんだけど、編集者の意図されたカラクリを探りつつ、もしかしたら職業として成りたつのではないか?という可能性を模索しながら最後まで読んでしまった。ユーガのまわりのさまざまなハンディをもったコドモたちの顔を思いだしながら。
 実際いつだったか、信州にいったとき、森の中に小さなメリーゴーランドがあって、そこで乗りにやってくるコドモたちをひとり世話していたのが、ダウン症の青年だった。彼はことばを話すことができなかったが、とてもいっしょうけんめいに働いていた。いってみれば「森の中のメリーゴーランドの番人」か。深い緑にかこまれて回り続けるメリーゴーランドとその横でたたずむ彼の笑顔。すてきな絵をみているようだった。

 

 自分の職業に生きがいや夢をかけられる、なんてことが少なくなっている世の中ですからね。こーいったことはホントの夢物語なのかもしれない。
 わかってるんだけど。でもいま母は眠りたいのです。物憂い春の日、ひとときの夢とお笑いください。ふっと目が醒めて、自分には果たさなければならない約束が差し迫っていることに気づくまで。


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