<シリーズ>
天使、なんて呼べない。
第16回
海がくれたおくりもの
柊野ポネ
もう夏も過ぎようとしている。今年の夏休みも、オトモダチ家族と高原にでかけて気持ちのいい風にふかれたり、緑の美しい木々の間を散歩したり、キャンプをしてログハウスに寝泊りしたり。家族で南の島へいって透明な海のなかを魚たちと泳いだり(ユーガはハシャギすぎてもぐりまくるので、魚は逃げてしまうのが常なのだが)もした。日常では味わえない、自然との短くとも貴重なふれあいを今年も感じさせたいだけだった。
独身時代こだわりをもっていたオトナの旅とは一線を画して、最近では私自身もだんだん夏はアウトドア化していく傾向にある。マングローブのある川をカヤックで下ってからはカヌーが家族で趣味なんていいなぁ、とか思ったりした。日本のあちこちの川を家族で下ってすごす、なんていうのはかなり上級者になってからだなぁ、とかね。単純だぁ。
ちなみにユーガはまだオールをあやつることはできず、インストラクターのおにいさんのまえにちょこんとのせていただいた。オールで川辺の木をたたいたり、自分は川で泳ごうとするわ、迷惑この上なかったからで、そのたびに私と主人はユーガをなだめに、彼らのカヤックのもとに必死にこいでいかねばならなかった。やれやれ。先は長いね。
ヨットには、ユーガは幼いときからのって海を行き来している。といっても、わが家のものではなくて、友人家族が所有しているヨットのセーリングに誘われて、ときどき週末を楽しませてもらっているだけなのだが。
ヨットの日は朝早くハーバーに車でのりつけて、近くの小島にわたる。太陽が照りつける下、風だけを帆にうけてヨットは海の上をすべりゆく。コドモタチの声に呼ばれるのか、スナメリの親子が追いかけっこをするように横を泳いでいくときもある。
島では老夫婦がふたりだけでやっている、お世辞にもきれいといえない食事処があって、「小エビのから揚げ」と「タコのおでん」と「大アサリ丼」が絶品。潮風が入ってくる小さな店のなかでガタガタのテーブルと小さな椅子に腰かけて食べる。
今夜のワインはどーしよー、サンテミリオンはのみたくない気分ね、とノタマッている普段の自分とはべつに、こーゆーもの食べているときの自分もとっても好きなんだぁな、私。食事のあと、オトコたちは釣りをし、コドモたちは海岸で遊び、ヨットからロープを体につなげてもらって泳ぎ、のんびり一日すごす。