このように変わった部分もあるけれど、ポーランド人そのものは、それほど変わったように見えない。
市場でジャガイモの量り売りを買うのに、「大きめのを入れて」と頼むと、「そういうわけにはいかないよ。そんなことしたら、あとで小さいのばかり残ってしまうじゃない。」という素っ気ない返事。
野菜や果物を売る市場で、アコーデオンを弾きながらロシア語の歌を歌い、お金を稼ぐロシア人。
ほかにたくさんポーランド人がいるにもかかわらず、見るからに外国人の私に、ポーランド語で道を尋ねてくるおばあさん。
バスに乗っている人の話に口を挟んだり、便乗したりするポーランド人。
昔ながらの官僚主義で、頼んだことが期日にできていることは、まずない。また、それに対して、すまないという気持ちもなく、逆に、何でこんな面倒なことを頼むの、という態度。それが、花束やチョコレートなどをプレゼントすることで、コロッと態度も機嫌も変わってしまうところ。
あの人なつっこさ、おせっかいなところ、ちょっと身勝手なところ、でもどこか滑稽で、文句を言いながらもつい許してしまえるあの人柄は、私が住んでいた頃と全く変わっていない。それが何となく嬉しく、そういう光景を見ると、なぜかほっとする。
◆◇◆クラクフ◆◇◆
クラクフは、私が最初に訪れた街で、また、一番長く住んだ街でもある。歩いているだけで、いろいろな思い出がよみがえってくる。街全体に、私の人生の一角が、スッポリ入っているという感じだ。目に入るものすべてが、気持ちを熱くする。初めてポーランドに来たときに、中央広場を歩きながら「この国に住んでみたい」と思ったのと同じように、今回も「やっぱりこの国にいつかまた戻ってきたい」と思った。
何がそういう思いにさせるのかわからない。街の雰囲気が、街でありながらどこかのどかで、しかも歴史と文化には今でも生きている躍動感のようなものも存在する。ことばでは、すべて語り尽くすことができない、ここに来て感じ取らなくてはわからないような魅力が、この街にはあるような気がする。再びポーランドに住むとしたら、クラクフ以外の街は考えられない、と改めて思った。